内視鏡と胃カメラは何が違う?

「内視鏡」と「胃カメラ」は、どちらも胃の内部を観察する方法を指す言葉として用いられています。両者の正確な違いについて知っている方は多くないかもしれません。あるいは違いについて気になっている方も多いのではないでしょうか。

歴史的背景から見ると、両者には明確な違いがあります。こちらでは、内視鏡と胃カメラの違いについてご説明します。

内視鏡と胃カメラの定義

医療現場においてもしばしば同義の技術として認識されている「胃カメラ」と「内視」。歴史をさかのぼれば、両者の間には明確な違いがあります。まずはそれぞれの定義についてお話しましょう。

胃カメラとは?

胃カメラは1950年代に開発され、日本の医療現場に導入され始めた医療機器です。スチルカメラや胃内部を照射するための豆電球といった要素で構成されているチューブを指します。機能としては写真撮影のみであり、胃の内部をリアルタイムで観察することはできません。

また、導入されはじめた当初のテクノロジーでは各機器を細いチューブにまとめることは難しく、挿入は被験者にとって大きな負荷となり、検査自体も長い時間を要しました。 撮影した写真は、その後の診断の材料として活用されました。

上述したような難点はあったものの、導入当初は画期的な技術として高く評価されたシステムです。

内視鏡とは?

内視鏡は1970年代に導入され始めた胃カメラより後発の技術です。チューブを挿入するという点では胃カメラと同じですが、内視鏡には光を伝送する光ファイバーの技術が採用されています。医療現場への導入以降、少しずつ改良が加えられ小型化されていきました。

近年の内視鏡にはCCD(超小型カメラ)が取り付けられており、胃の中の病変をリアルタイムで観察可能です。 現在は、超音波機能で胃壁の内部組織を観察できる内視鏡や、チューブ型の形状を排したカプセル内視鏡も誕生しています。導入が開始された1970年代以降、内視鏡はそれまでの胃カメラに取って代わる存在として普及していきました。

今後もさまざまな技術が内視鏡に活用され、進化していくことが予想されます。

患者様にとっての胃カメラ・内視鏡の違い

胃カメラ・内視鏡には、上述したように採用されている技術や誕生した時代に違いがあります。ただし、「胃の中を観察するシステム」という目的の点ではどちらも同じです。

現在の医療現場で胃内部の観察のために用いられているシステムは、ほぼ間違いなく内視鏡でしょう。 現在における「胃カメラ」は、ほぼ内視鏡の通称として用いられています。内視鏡の一般的な表現として「胃カメラ」という名称を用いる医師も少なくありません。したがって、患者様は「胃カメラ」「内視鏡」の違いを意識する必要はほとんどないと言えるでしょう。

そのため、上述したような胃カメラ・内視鏡の違いは、あくまで正確な定義上のものとしてご認識ください。医療機関のホームページに記載されている、もしくは医師のガイダンスで語られる「胃カメラ」と「内視鏡」はほとんど同じ意味です。また、患者様は医師に対して「胃カメラ」という言葉を用いても、ほぼ間違いなく「内視鏡」の意味として通じるので問題ありません。

監修医紹介

加藤 貴志 院長(かとう たかし/Takashi Kato)

咳(せき)の検査・診断 担当医 加藤 貴志 院長 (かとう たかし/Takashi Kato)

経歴

1998年自治医科大学卒業
2007年東北大学大学院医学博士課程修了、東北大学病院移植・再建・内視鏡外科 他
2016年〜現職

備考

医学博士 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会 日本内視鏡外科学会 日本臨床外科学会 日本再生医療学会 日本抗加齢医学会 総合診療認定医