十二指腸潰瘍

消化器の疾患のひとつである十二指腸潰瘍についてお話します。墨田区両国の湘南メディカル記念病では、経験豊富な消化器内科スタッフが十二指腸潰瘍に関するご相談に対応しています。どうぞお気軽にご来院ください。

十二指腸潰瘍とは

十二指腸潰瘍とは、胃と小腸をつなぐ十二指腸が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損してしまう疾患です。胃から小腸にかけての粘膜は通常、防御機能を備えた粘液によって胃酸の消化機能から守られていますが、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染、非ステロイド性抗炎症薬の内服、またストレスや嗜好品(コーヒー、タバコ、アルコールなど)の摂取によって胃腸内のバランスが崩れると、胃酸に対して脆弱となってしまいます。とりわけ、十二指腸の粘膜は薄く、胃酸によるダメージを受けやすい組織です。

同じように消化器に潰瘍ができる胃潰瘍とは混同されがちですが、胃潰瘍が40代以上の発症が多いのに対して、十二指腸潰瘍は20~40代の比較的若い層の発症が多く報告されています。胃潰瘍と同様ストレスを原因とする消化器系の疾患として、ストレスをためてしまいがちな日本人にとっては無視することのできない存在です。

症状

以下が十二指腸潰瘍の代表的な症状です。

心窩部痛(みぞおちの痛み)

肋骨下の中央部に位置する「心窩部(通称、みぞおち)」に痛みが生じます。また、食後は消化の働きが十二指腸内の粘液と胃酸のバランスを回復させるため、一時的に痛みが弱まる傾向があります。

吐き気・嘔吐・食欲不振

風邪の場合などにも起こり得る一般的な消化器系の症状です。十二指腸に潰瘍ができている場合は、こうした症状が長期化します。

吐血、黒色便

潰瘍によって出血が起きている場合は、黒色便が起こります。十二指腸で出た血液が腸液と混じって排出されどす黒く変色しているのが特徴です。

検査

十二指腸潰瘍の診断で用いられる検査方法をご紹介します。

バリウム造影検査

バリウムを飲んでレントゲン写真を撮影します。十二指腸の粘膜の欠損の位置を確認できます。

内視鏡検査

小型カメラを口、もしくは鼻から挿入し、十二指腸内部の粘膜の欠損状況を調べます。症状の病期や進行度を確認するために用いられる方法です。出血が確認できれば、そのまま止血の処置を行うこともあります。

ピロリ菌検査

十二指腸潰瘍の原因といわれているピロリ菌の介在状況を調べます。胃の粘膜を採取してピロリ菌の成分を検査する方法のほか、便、尿、呼気を採取する方法があります。

治療法

胃酸の強さと粘膜の防御機能のバランスを正常に戻すための、薬物治療が中心です。ピロリ菌の存在が確認された場合は、胃薬と抗生物質による除菌治療も行います。現在は治療薬の効果が向上し、かつてのように外科手術が必要となるケースはほとんどありません。

胃の痛み、下血……怪しい症状が出たら医療機関の受診を

十二指腸潰瘍の治療は、早めに行うことが肝心です。食後に収まる胃の痛みや、下血といった特徴的な症状が現れたら、十二指腸潰瘍の可能性を疑ってください。少しでもこのような症状があれば、お早めのご来院がおすすめです。

監修医紹介

加藤 貴志 院長(かとう たかし/Takashi Kato)

咳(せき)の検査・診断 担当医 加藤 貴志 院長 (かとう たかし/Takashi Kato)

経歴

1998年自治医科大学卒業
2007年東北大学大学院医学博士課程修了、東北大学病院移植・再建・内視鏡外科 他
2016年〜現職

備考

医学博士 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会 日本内視鏡外科学会 日本臨床外科学会 日本再生医療学会 日本抗加齢医学会 総合診療認定医